ショート動画サービス運用の秘訣 ~ ユーザーエンゲージメントを高める取り組みとは ~
1. はじめに
ショート動画サービスの市場は急速に成長しており、多くのプラットフォームがしのぎを削る中、ユーザーのエンゲージメントを維持し、持続的に楽しんでもらうためには、単にコンテンツを提供するだけでなく、運用面での戦略が重要になります。この記事では、弊社が運用を担当しているある国内ショート動画サービスがどのようにしてユーザー満足度を高め、視聴体験を充実させているか、その運用ノウハウをご紹介します。
2. ユーザー理解をベースにしたコンテンツ戦略
– ターゲットユーザーの明確化
このサービスでは、主に40〜60代のシニア層を主要ターゲットとしており、この年齢層が「どんな情報に興味を持っているか」「どんな操作にストレスを感じやすいか」を深く理解しています。たとえば、シニア層が楽しめる旅行情報やライフハック、癒し系の動物動画といったジャンルを多く取り入れ、年齢層にマッチしたコンテンツの拡充を図っています。
– 視聴データを活用したコンテンツチューニング
ユーザーの視聴行動データを定期的に分析し、人気のジャンルやトレンドを把握しています。例えば、「お出かけ情報」や「便利な暮らしのコツ」などのカテゴリーを充実させることで、シニア層が特に関心を示す情報を積極的に提供し、アクティブユーザーを増やしています。また、毎日のランキングや視聴数の多いコンテンツをリアルタイムで更新し、ユーザーの関心に合わせたおすすめコンテンツを提供することで、エンゲージメントを高めています。
3. ユーザーエンゲージメントを高めるインセンティブの活用
– 「くじ」機能による起動率アップ
このサービスでは、アプリの起動率を高めるために「くじ」というインセンティブ施策を毎日実施しています。ユーザーが毎日アプリを開いてくじに参加することで、ポイントが当たる仕組みです。このようなインセンティブは、ユーザーが習慣的にアプリを開く動機づけとなり、日常的なリテンションを向上させています。
– 動画視聴を促すくじ参加条件
くじ参加の条件として、「動画を数本視聴する」ステップを加えることで、ただくじだけを引いてアプリを閉じる行動を防ぎ、自然に動画視聴を促す仕組みを導入しています。この結果、視聴回数が増加し、ユーザーがより多くのコンテンツに触れる機会が増えることで、視聴体験が深まるようになっています。
4. 視聴体験を最適化するUIUX設計
– 直感的な操作とシンプルな導線
ショート動画サービスにおいて、ユーザーが迷わずに視聴できる直感的な操作感は非常に重要です。このサービスでは、縦横のスワイプで気軽に動画を切り替えられる設計を採用し、チャンネルの並びもカテゴリ別に整理することで、ユーザーが興味のある動画にすぐにアクセスできるよう工夫しています。
– 「見つける画面」で新しいコンテンツと出会える体験
視聴のマンネリ化を防ぐため、「ホーム画面」を通じて、人気のハッシュタグやランキングなど、ユーザーの興味を引きやすいコンテンツが簡単に見つかる工夫をしています。また、「ホーム画面」を経由するユーザーは視聴時間が長くなる傾向があるため、この画面への誘導を促すことで、アクティブな視聴行動を促進しています。
5. PDCAサイクルによる継続的な改善
このサービスでは、PDCAサイクル(Plan, Do, Check, Act)を徹底して運用に取り入れ、常にユーザーのニーズに応えるための改善を行っています。特にホーム画面は面の出し方によって、数字が大きく変化するため、定常的にウォッチし、改善点を洗い出しています。
- Plan(計画): ユーザーの視聴データやフィードバックをもとに改善点を洗い出し、具体的な改善策を計画します。
- Do(実行): 運用改善策を速やかに実装し、ユーザーに提供します。
- Check(確認): 施策の効果を定量的に検証し、データに基づいた効果測定を行います。
- Act(改善): 効果があった施策はさらに強化し、改善の余地がある場合は新たな方法を模索します。
このようなサイクルを定期的に回すことで、ユーザーのニーズに迅速に対応し、より快適な視聴体験を提供できるようにしています。
6. シニア層ユーザーに優しいサービス運用の工夫
– 大きなボタンと分かりやすいラベル
シニア層が多いことを踏まえ、ボタンを大きく配置し、シンプルで分かりやすいラベルを採用しています。これにより、スマホ操作に慣れていないユーザーでも直感的に使いやすく、視聴体験が向上しています。
– 視覚的に疲れにくい配色
最近のリニューアルで、配色をダークトーンからライトトーンに変更し、視認性を向上させました。視覚的に疲れにくいデザインは、シニア層にとって特に重要で、長時間の利用をサポートします。
7. 運用を支えるバックエンド体制
このサービスでは、コンテンツ管理を効率化するためのCMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入し、スタッフが柔軟にコンテンツを配置・更新できる体制を整えています。また、AIによるレコメンドの最適化や、ユーザーの嗜好に合わせたパーソナライズも取り入れることで、常に新鮮で興味を引くコンテンツ提供を実現しています。
8. 今後の展望
このショート動画サービスは今後も、ユーザーの視聴行動をデータで捉えながら、エンゲージメントを向上させるための新しい施策を模索していきます。シニア層だけでなく、さらに幅広い世代が楽しめるサービスを目指し、UIUXの改善提案や新しいコンテンツカテゴリの追加など、サービス運用としても進化を続けていきます。
9. まとめ
ショート動画サービスを成功させるためには、ユーザーの視聴ニーズに合わせた柔軟なコンテンツ提供と使いやすいUIUX設計、そしてエンゲージメントを高める仕組みが必要です。このサービスでは、これらの要素を総合的に考慮し、PDCAサイクルを回しながら継続的にサービスの質を向上させています。運用だけでは限界がありますが、弊社では開発/UIUX/運用/グロース を一手に任せられている、恵まれた環境にあります。今後も、ユーザー一人ひとりに寄り添ったサービス運用を心がけ、より豊かな視聴体験を提供していきます。