朝、管理画面を開いて昨日の数字を確認する。集計表を更新し、問い合わせを読み、公開予定のコンテンツをチェックする。気づけば夕方。「改善したいこと」は、今日も明日の予定に残っている。

サービス運用では、こうした確認や整理が欠かせません。その下準備をAIに手伝ってもらえたら、ユーザーの困りごとや次の施策に向き合う時間をつくれるかもしれません。

では、どこから任せればよいのでしょうか。ショート動画サービスを例に、取り入れ方を考えてみます。以下は活用方法の例であり、特定のサービスの導入実績を示すものではありません。

「再生回数が増えた」で、報告を終わらせない

例えば、今週は再生回数が増えた一方で、最後まで見た人の割合が下がったとします。

この数字だけで「動画の内容が悪かった」とは言えません。新しい利用者が増えたのかもしれないし、長い動画の配信が増えたのかもしれない。流入元や集計条件の変化も、確認したいところです。

ここでAIに頼みたいのは、原因の断定ではなく、調べる順番の整理です。

この集計表から、前週と比べて変化した項目を整理してください。確認できる事実と原因の仮説を分け、追加で確認したいデータも挙げてください。データにないことは「不明」としてください。

計算や集計は分析ツールで確かめ、AIには比較結果を整理してもらう。担当者は元の数字と照合し、調べるべき仮説を選びます。「数字を報告する」作業が、次の確認につながります。

AIで、運用から改善へ。データを集める、AIで整理する、人が判断する、改善を試すという循環。

集計から改善までの流れ。AIが整理した内容を人が確認し、次の施策につなげます。

「使いにくい」の中身をほどく

問い合わせの「使いにくい」には、いろいろな意味があります。ログインできない。見たい動画を探せない。文字が小さい。内容によって、必要な対応は変わります。

個人情報を除いた問い合わせをAIで仮分類し、繰り返し出てくる困りごとを整理する。要約には元の問い合わせの管理番号を付けておく。そうすれば、担当者が原文に戻って意味を確かめられます。

ただし、件数が多いものから直せばよいとは限りません。少数でも、利用や決済ができなくなる問題は優先すべき場合があります。分類の下準備をAIが担い、影響と優先順位は人が判断します。

更新前の「見落とし」を減らす準備にも

タイトル、紹介文、カテゴリー、公開日時。コンテンツを一つ公開するだけでも、確認項目はいくつもあります。

AIには紹介文の下書きや表記揺れの指摘を任せ、公開日時の未入力など、ルールが明確な項目はプログラムでチェックする。この組み合わせなら、それぞれの得意な処理を使えます。

依頼するときは、「作品名と人名は変えない」「原稿にない情報を足さない」「判断できない箇所は指摘する」といった条件を先に決めます。完成した文章だけを受け取るより、変更点や確認箇所も一緒に受け取る方が、レビューしやすくなります。

最初の一歩は、週次レポートの下書きから

試すなら、毎週繰り返している作業を一つ選びます。例えば、同じ集計表を使って週次レポートの下書きをAIに作らせ、従来の作り方と比べてみます。

見るのは、出力の速さだけではありません。

  • 元データと違う数字がないか
  • 重要な変化を見落としていないか
  • 確認と修正を含めて、作業時間が減ったか
  • 次に何を調べるかが明確になったか

下書きが速くても、直すのに時間がかかるなら、依頼の仕方や任せる範囲を見直します。

生成AIは、もっともらしい誤情報を出すことがあります。NISTの生成AIリスク管理資料でも、この性質が指摘されています。元データとの照合は、運用の工程として残しておきましょう。

また、顧客の個人情報や非公開の業務情報を入力する前に、利用するAIサービスのデータの取り扱いと社内ルールを確認し、入力を必要最小限に絞ります。

空いた時間で、何を改善するか

日々の整理を少し軽くできたら、次に何をするでしょうか。

問い合わせが増えている画面を実際に使ってみる。動画を見終わった後の導線を見直す。紹介文を変えて反応を比べる。AIでつくりたいのは、こうした改善を試す余地です。

まずは今週の作業を一つ選び、「ここまでなら任せられそう」と切り分けてみる。結果を確認しながら、自分たちの運用に合う使い方を育てていきましょう。

参考:NIST「Generative AI Profile」(2024)

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