ショート動画アプリのUIUX最新事情 〜 “見やすさ”と”使いやすさ”の両立 〜
1. はじめに
スマートフォン向けのショート動画アプリは、私たちの生活のあらゆるシーンで欠かせない存在となっています。短時間で情報を得たり、気軽に楽しめるため、需要は特に高まっています。しかし、膨大なコンテンツの中で”見やすさ”と”使いやすさ”を両立するためには、UIUXデザインに対する深い理解と工夫が必要です。ここでは弊社が開発・UIUX・運用を担当している国内大手通信会社が提供するショート動画アプリにおけるUIUXデザインの取り組みを紹介し、シニア層にも親しみやすい設計を目指した工夫や、視聴体験を向上させるための最新の施策についてお伝えできる範囲内で解説します。
2. ショート動画アプリのUIUX設計コンセプト
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簡単さと直感的な操作性
このアプリのUI設計では、年齢層を問わず、どんなユーザーでも直感的に操作できることを重視しています。特に、シニア層ユーザーが多いことを踏まえ、複雑なナビゲーションや多すぎる操作手順は避け、縦横のスワイプでコンテンツをスムーズに探せるシンプルな操作を採用しました。 -
レコメンドに頼りすぎない設計
このアプリには、おすすめの動画を表示するレコメンド機能があり、ユーザーの好みに応じてコンテンツを提案します。しかし、レコメンドに頼りすぎると、毎回同じ動画が表示されてしまう問題も生じます。これに対応するため、フォローしたコンテンツのみが表示されるチャンネルや「ホーム」画面など、自分でコンテンツを選びやすい導線を配置し、多様なコンテンツにアクセスしやすい構造にしています。 -
安心感を与えるデザイン
このアプリは大手企業が公式に提供するアプリであり、信頼性や安全性も重要な要素です。広告や無関係なコンテンツを極力抑え、シニア層でも「安全に楽しめる」と感じられるようなデザインを心がけています。視覚的に疲れにくい配色や、読みやすいフォントサイズにも配慮しました。
3. ユーザーの行動データを活用したUIUX改善
このアプリでは、ユーザーがアプリをどのように使っているかの行動データを継続的に収集し、UIUXの改善に役立てています。
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「くじ」ユーザーの行動分析
現在、このアプリには「くじ(インセンティブ)」目的で訪れるユーザーが多いことがわかっています。このユーザーの視聴時間を延ばし、より多くのコンテンツに触れてもらうために、くじを引く前に数本の動画を視聴する流れを導入しました。また、視聴意欲を高めるため、くじの画面に人気動画やおすすめのタグチャンネルを表示するなどの施策も行っています。 -
「見つける画面」到達率向上の工夫
全ユーザーの3割程度が「見つける」画面に到達しており、これをさらに増やすために、視聴した動画に関連するコンテンツの提案や、ユーザーがフォローしているタグの新着動画を目立たせる工夫を行っています。これにより、視聴体験をパーソナライズし、ユーザーの好みに合わせた動画にアクセスしやすくしています。
4. シニア層にも配慮したUIUXの工夫
このアプリのユーザー層は、40代から60代以上のシニア層が多いのも特徴です。このため、一般的なUIUX設計とは少し異なる配慮が必要です。
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大きなボタンとシンプルなラベル
シニアユーザーにとって、ボタンが小さかったり操作が複雑だったりすることはストレスになります。このアプリでは、重要な機能(例:「フォロー」「いいね」など)には大きなボタンを配置し、明確でシンプルなラベルを使用することで、ストレスフリーな操作を実現しました。 -
視覚的な疲労を減らすライトトーンのデザイン
2024年のリニューアルで、このアプリはダークトーンからライトトーンの配色に変更しました。これにより、画面が明るくなり、視認性が向上し、目に優しいデザインとなっています。特にシニア層にとって、視覚的な負担が少ないことは長時間の利用において大きな利点です。
5. UIUX改善サイクル
このアプリでは、PDCAサイクルを活用してUIUXの改善を行っています。具体的には以下のようなプロセスを繰り返しています。
- Plan(計画): ユーザーからのフィードバックや行動データに基づき、改善点を洗い出します。
- Do(実行): 改善施策をデザインし、アップデートを実行します。
- Check(確認): 実施後のデータを分析し、施策の効果を測定します。
- Act(改善): 分析結果をもとにさらに改善を重ね、次のサイクルに活かします。
このPDCAサイクルにより、常にユーザーのニーズに応えるUIUXを提供することを目指しています。
6. 今後の展望と挑戦
これからもこのアプリは、シニア層に優しい設計と直感的で気軽に楽しめるUIUXを追求していきます。また、AIを活用したレコメンド機能の強化や、新しいコンテンツジャンルの追加など、ユーザーの視聴体験をさらに豊かにするための取り組みを計画中です。ユーザーの多様なニーズに応えながら、シンプルで使いやすいアプリとして進化していくことを目指しています。
7. まとめ
このショート動画アプリのUIUXは、ただ機能を提供するだけではなく、ユーザー一人ひとりが安心して楽しめる環境を目指してデザインされています。スマホアプリのUIUXにおいて大切なのは、ユーザー目線での設計と、日々の改善です。この通信会社はこれからも、ユーザーの声に耳を傾け、より良い体験を提供するために努力していきます。